性能データ改ざんされた免震装置 東京スカイツリーにも設置されていた

性能データ改ざんされた免震装置 東京スカイツリーにも設置されていた - ライブドアニュース
産業部品メーカーKYBが、建物の免震装置の性能データを改ざんしていた問題。東京スカイツリーや六本木ヒルズなどにも設置されていたことが分かった。KYBは「所有者などの許可が必要」として個別の物件の名前は公表していない

産業部品メーカーKYBが、建物の免震装置の性能データを改ざんしていた問題
東京スカイツリーや六本木ヒルズなどにも設置されていたことが分かった
KYBは「所有者などの許可が必要」として個別の物件の名前は公表していない

産業部品メーカー・KYBが、建物の免震装置の性能データを改ざんしていた問題。埼玉県の「県立がんセンター」や大宮区役所、神奈川県の新庁舎や東京都庁の第一庁舎と第二庁舎など、全国各地で改ざんの疑いがある建物が判明し、影響が拡大している。

■データ改ざんの免震装置とは?

KYBが検査データを改ざんしていたのは、建物に使われる「オイルダンパー」と呼ばれるもの。建物を支える地下の部分で地盤と建物の間をつなぐ免震用の部品と、建物の柱の間などに設置する制振用の部品があり、地震の際にこの装置が伸び縮みすることで建物に伝わる揺れを抑える役割をしている。

例えば神奈川県庁の新庁舎では、長さ3メートルほどのダンパーが地下に16本あり、13階建ての建物を支えている。この庁舎のダンパーが実際にデータが改ざんされたものかはわかっていないが、検査データが改ざんされると、想定よりも大きな揺れが建物に伝わる恐れがあるという。

■どこまで影響が広がっているのか

影響は、全国に広がっている。この改ざんが行われた、またはその疑いがある物件は、全国のおよそ1000件にのぼっている。その中には、防災対応の拠点にもなる大阪府庁や愛知県庁といった自治体の庁舎や、病院なども含まれていることがわかってきた。

例えば、大阪府庁では、本館に設置された免震装置223基のうち12基でKYBの製品が使われていて、府は「耐震性には問題ない」としているのだが、松井知事は憤りを隠せない。

大阪府・松井一郎知事「企業のモラルの低下、利益最優先の中で、データを改ざんしてしまおうという、会社内での雰囲気があることが、非常に怖い」

さらに、KYBのオイルダンパーは、東京スカイツリー、六本木ヒルズ、東京都庁などにも設置されていたことが新たに判明していて、KYBへ確認を求めているところだという。

■物件名などの公表は?

民間の施設などにも使われているということで、気になる人もいるかもしれないが、現状では公表されていない。KYB側は「所有者などの許可が必要だ」として個別の物件の名前は公表していない。一方で、問題の建物の所有者には個別に連絡を取っているという。

しかし、こうしたKYBの対応の一方で、埼玉県や愛媛県などの一部の自治体は、改ざんの恐れがある製品が使われていた県内の施設を公表した。愛媛県はその理由について、「県民の安心・安全に関わるので、公表した」「KYBに早急な対応を促す意味もある」としている。

逆に、「公表しない」という自治体もあり、利用者の不安にどう対応するのか、対応の差が広がることで、今後、混乱も予想される。

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